あまいろ。

サトウキビの収穫は冬。高知は南国といえども冬場はしっかいとさむい。サトウキビの芯と皮の間に氷の柱をみたこともある。手をしびらせながら先端が二股に分かれた特殊な鎌で皮を剥いでいく。初めての収穫作業の時には、「ほんまにこれがあの黒糖になるがやろうか?」と不思議に思うた。地面からズンと力強く生える竹みたいなものが、あんなに甘いつぶつぶになるがやろうかと。収穫中にちょっと芯の中心部をしがむ。これがほんのり甘い。これやったらお砂糖ができるかもしれんと自信をもつ。収穫されたサトウキビは200kgのロットを作り、軽トラで製糖所まで運んでいく。

製糖所には圧搾機がある。二つのローラーの間に収穫したサトウキビを挟み込みプレスしていく。メキメキと音を立ててサトウキビは自分の甘い汁を落としながらぺちゃんこになった姿で出てくる。搾汁はまず大きな桶に移されアクをとる下処理が行われる。プレスされたサトウキビはその後粉砕機にかけられ、畑に敷く自然のマルチに生まれ変わる。

アクを取り除いた搾汁はいよいよ大釜で煮詰められる。この作業は野市製糖組合の焚き師が行う。搾汁はみるみる内に沸騰し、年季の入った扇風機と一緒に釜の様子を確認する。時折、竹を使って釜の中をかき混ぜる。この作業はその場にいる人総出で交代交代かき混ぜていく。こちらの製糖所は複数の農家で兼用しており、上記の作業等はみなさんで行う。毎度チームが変わるので面白い。

煮詰まった搾汁は見る見る内に粘度がまして、終わりの方には竹で線が描けるほどになる。その段階になると竹でかき回す頻度も増す。いよいよクライマックスの予感がしてくる。焚き師の合図で、砂糖は一気に四角い木製の桶に流し込まれる。桶は屋外に運び込まれ、適度に空気を当てながらとろとろの砂糖をハケでならしていく。ここから型に流し込んで成形する方法と、そのままハケでならしながら固まらせつぶつぶの砂糖に成形する方法に分かれる。後者は他の農家さんと一緒にちょこっとつまみ食いをしながら行う。「ちょっとえぐみがある。」「酸味がある。」などと言いながら、各々の砂糖の出来栄えを言い合う。土が違えば野菜の味が変わるように、サトウキビも土地土地で味が微妙に違う。自分もそれに加わって、亜麻色の出来立ての砂糖を口に入れてみる。一口目の時、製糖所の加工場担当のベテランおばちゃんは、いつもぐいっとくる様子で「あまいろ。」と聞いてくる。できたてのお砂糖は、つんと甘く感じる。

あまいろ。 はこうしてできたお砂糖をみなさんに身近に感じていただこうと作った商品です。今や当たり前に口にすることのできる砂糖ですが、こうして原点回帰的な作り方で生まれた「あまさ」をお届けすることで、味の裏にある背景を思い起こしていただければ幸いです。「あまいろ。」は100g入りのパウチで販売していますが、ご要望に合わせて内容量を変えるなどさまざまな形でお渡しすることも可能です。できる限りご希望に添いたいと考えていますのでお気軽にCONTACTの方でご連絡ください。あまいろ。はグリーンベースのオンラインショップでお求めいただけます。まずはぜひ、一口食べてみてください。


【店頭販売】

「あまいろ。」を店頭販売してくださっているお店をご紹介します。

【とさのさとアグリコレット】

レジの側にあります「いっちょういったんコーナー」に並んでいますので、ぜひ一度お手にしてみてください。アグリコレットは高知の食文化とおいしいがぎゅっとつまった素敵な場所ですのでぜひお越しください。色々な発見があります。

【まるごと高知(東京)】

この度、素敵なご縁をいただき「あまいろ。」は東京にあります高知のアンテナショップ「まるごと高知」様でも手に取ることができます。高知県外では初めてのお取り扱いです。どうぞお江戸で土佐の甘味をご賞味ください。